毎日幸せひとつ

好きなことを感じるままに

青空の卵:ネタバレあり

先日読んだ、「和菓子のアン」の作者 坂木 司のデビュー作。

 

主人公:坂木(外資系保険会社の営業)

友人:鳥井(在宅コンピュータープログラマー、ほぼ引きこもり)

この二人が日常に起こる謎を解くお話(殺人なし)

 

二人の出会いは、中学時代。同級生にいじめられ、不登校直前のところで、坂木に「友人になりたい」と声をかけられた鳥井。

そのため、自分に手を差し伸べてくれた坂木を唯一神のように慕っている鳥井。

坂木は、凡中の凡である自分が非凡である鳥井に憧れていて、鳥井が一番弱っていた時に手を伸ばしたことで、罪悪感と少しの優越感、そしていつか鳥井が自分以外の世界に歩いて行ってしまうのではないかと、不安感を抱えている。

読み終わって一番に思ったのは、共依存と共生の差は何なのだろう?

自分の存在意義を相手に求め、過剰に献身を繰り返す共依存

お互いに利益を与え合う共生。

両方とも、根っこは自分への愛。

小説の中では、二人の関係は共依存として描かれている。一見鳥井→坂木に思えるが、坂木は「鳥井に恥ずかしくない自分でいたい」「だから僕はまだ大丈夫」と自分に言い聞かせる場面が随所に出てくる。子供の頃祖母に、自分の知らないところで、苦しんで泣いている人がいるのが辛いと訴えたら、「まず自分の隣にいる人を優しく助けてあげればいい。そして次はその先のまた手が届く人を優しく助けてあげればいい。」これが坂木の根幹にあるように思われる。

これは、人間的成長を促す愛なのではないかな。

読後感は、優しく暖かく少し切なさが残ります。

 

自分に置き換えても、夫婦は愛なのか?共依存なのか?共生なのか?相手の幸せとともに、自分も幸せでいたいのはエゴ?愛?依存?難しく考えると、どんどん沼に入り込む感じですが、わかっているのは、相手が毎日笑って過ごしてくれるようにと願う気持ちがあるということです。日々むかつく事は多いですが、もっと夫に優しくいようと思わせてくれる作品でした。